硯展
姪の長男、製硯師のTの展覧会が、神田駿河台の画廊で開かれています。mーkと
行って来ました。昨日は、N老師も早々と行ってくださったとメールがありました。
Tが日本でただ一人「製硯師」を名乗るのは、硯作りの職人だけではなく、硯に
関わる全ての専門家でありたいため、父親のAが考えた職能名です。だから日本で
ただ一人なのです。
展覧会は小規模ながらとても充実してます。元総理の細川護熙さんや歌舞伎の
市川猿之助さんのために作った硯や、月の石で作った硯。北海道で見つけた石の硯、
硯になる石を見つけに近くカナダに行くそうです。会場前にあった北海道での原石
探しの写真パネルの前で、mーkと一緒に写して貰いました。
彫り上がった硯達は石の美しさを生かし、しかも硯としての実用性と見事な彫りで
誰でも惚れ惚れする筈です。
市川猿之助さんの硯を原石から出来上がるまで、写真家の斎藤芳弘さんが撮り続け
「青柳貴史の仕事」という立派な本になりました。箱の中には「猿之助御硯石粉」の
小瓶まで添えられて、削られた粉はただの石粉ではなく、これには数万年数十万年の
地球の歴史が秘められているのです。
月の石と言っても35×30×13の小ささの硯も一見ものです。「夜空を見上げた時、
静かに光放つ月を見て、あの地の石で作ってみたい」と思って出来た硯です。